楓橋夜泊 - スペシャル動画!!




月落ち 烏啼いて 霜天に満つ  
江楓 漁火 愁眠に対す
姑蘇城外の 寒山寺
夜半の鐘声 客船に到る


通釈:月は西の方に沈み、烏が鳴いて霜の気が空一面に満ちている。川岸のかえでや点々としたいさり火(漁火)が、旅のうれいのために熟睡できず、うつらうつらした目に映っている。すると、姑蘇城の外の寒山寺から、夜半を知らせる鐘の音が、この船にまで聞えてきた。


YouTubeでみつけたObakedakeさん(年齢、出身国不明)の吟ずる中国唐時代の詩人、張継の「楓橋夜泊」です。

漢詩はもともと中国のものですし、日本人の作った和歌や俳句に比べるとなかなかとっつきにくいものですが、出だしの"月落ち 烏啼いて 霜天に満つ"というはっきりと情景が浮かぶ美しい表現もあり、私もこの詩が気に入っています。吟詠家の間でもよく吟じられ有名だそうです。

前半、起・承句は、月、霜、楓、火と視覚を詠じ、後半の、転・結句は鐘の声、聴覚を詠じている。張継はこの詩一つで有名を馳せ、この詩が「楓橋」の橋を有名にしその後多くの詩人が、この地を訪れるようになったそうです。

よくエロ詩吟の吟は上手いのか?という質問を投げかけられますが、それはまあ置いといたとしても、この「楓橋夜泊」を吟ずる外国人の彼はとても上手だと思います(微妙な音程やつっかかりは核心的な問題ではないとして)。詩吟の一番の妙とも言えるゆらし(こぶし)をとても堂々と発しているあたりなど、ただものではない感があります。動画を掘ってみると、彼が琵琶を演奏しながら詠っているものもあり、かなり日本の音楽の深いところまで精通していらっしゃる具合が見受けられます。



かく言う私も弦楽器に強い憧れを抱いておりましたが、あまりの手の小ささにギターの練習を断念した記憶があります。最近は指で押さえないスチールギター購入のことばかりで頭がいっぱいでしたが、琵琶というものに触れてみたくなりました。