なぜ、大きな声には「詩吟」が有効なのか?


■なぜ、大きな声には「詩吟」が有効なのか?


「大きな声が出ない」「声がこもる」「聞き返されることが多い」といった悩みをもつ方は、声に自信がなくなって自分の殻に閉じこもり身体も硬くなっている状態が多いです。


真面目な人ほど 「こうしなくては」と本来の自分に殻を覆ってしまい、ますます声が伝わらなくなって、こもったり、小さくなったりしてしまっています。


また、声にお悩みの方は、「話し方」の本や歌のボイストレーニングに通ってみたりと既に努力をされている方も多いと思います。しかし、これらは声が出ることが前提です。人に伝わる声を出すためには、「話し方」のテクニックや歌のテクニックの前に、基礎的な「声を出す」という力をつけることが必要です。


まずは、心と身体を解放し、「声を出すのが苦手だ」というような思いも捨て、自分自身が気持ちよく声を出すことに集中します。そうすることで、自分を覆っている殻を破り、自ずと人に伝わる自然な声が出るようになるのです。


では、気持ちよく声を出すには、どうすればいいでしょうか?


そのためには、詩吟が非常に有効です。


なぜなら、詩吟では、何百年、何千年も前に作られた有名な詩を、腹から大きな声に出します。「そんな言葉、普段使わないから意味がない」と思うかもしれません。


しかし、普段使わないからこそ、普段の言葉や普段の自分から離れ、自分とは全く関係のないような言葉を声に出すことで、自分の中に押し込まれてしまった心と声が目を覚まします。


普段はなかなか触れることのない美しい日本語を、気持ちよく大きな声に出してみる。ただ、それだけに集中して楽しんで声を出すだけで、ほんのわずかでも何かしら変化を感じるはずです。結果、それが声の悩みを解決する第一歩につながります。


そして、自ずと「人前で話す度胸がつき」、「言葉を明瞭に伝え」、「聞き手を感動させる力」がついてくるのです。


■楽しんで気持ちよく、繰り返し声を出す


声が通るようになるには、まず、喉や身体、そして心を解放することです。それには、ある種の技とコツを身につけること、そのために繰り返し練習する。それだけです。ですので、様々なスポーツや勉強と同様に、楽しんで取り組むことが非常に重要です。


しかし、声を出す練習で、つまらない言葉や長すぎる文章だと飽きてしまうし、疲れてしまいますよね。その点、詩吟が大声のレッスンに適しているのは、和歌や俳句などの短い文章で、日本語が最も美しく響く七五調、何百年もすたれない、読めば読むほど味が出る、知っていて徳しかない有名な詩です。


つまり、詩吟で声に出す言葉は、短くて繰り返し練習できる上、大人も子どもも楽しめる、深みのある内容なのです。


では、美しい日本語を声に出すだけだったら音読でいいのではないか?と思われるかもしれません。


音読は脳の活性化になるといわれていますが、詩吟ではこの音読にプラスして、言葉の語尾の母音を気持ちよく伸ばしていくのが特徴です。母音は喉が開く、解放する音です。母音をのばすだけで、身体の力みがゆるんでいきます。また、簡単な節をつけて音楽として楽しめます。


この母音をのばすだけで、身体がゆるみ、どんどん気持ちよく大きな声が出るようになるのです。


なお、詩吟では、普段使わなかった喉を使うことで、喉がかれてしまったりすることもありますが、それはいい変化のきざしです。その日は十分休んで、また次の日、あるいは別の日と、声を出すことを続けて行くと、自ずとかれない通る声が出せるようになってきます。


なぜなら人は、繰り返し同じことを続けると、新しいやり方を自ずと発見するからです。


だからこそ、すぐに実感がわかなくても、「自分には向いていない」「やり方が間違っているんだ」とあきらめずに詩吟で大きな声を出す習慣を続けて欲しいと願っています。


はじめはうまくいかないのが当り前です。まずは「やり方が間違っている」ということに気がつくことが大切です。それに気づけば半分は成功です。


■自分の殻を破る


さて、これまでにも、何の気なしに詩吟を始めて、小さな声の人が大きな声が出せるようになって、日常生活が楽になったという方がたくさんいらっしゃいます。


例えば、元々声が小さいことが悩みだった方も、楽しんで詩吟で大声を出す習慣をつけたところ、以前は、いざという時にさえ出なかった声が出るようになり、自分の気持ちが伝えられるようになったそうです。


他の例では、スタバで「トール」を頼んでも聞き返されてしまう方。「トール」という練習をするのではなく、詩吟を楽しんで稽古しているうちに、しっかり「トール」が頼めるようになったそうです。


また、詩吟で大きな声を出す習慣をつけてから、他人をねぎらうときも、感謝するときも、意見するときでも、自分の気持ちを込めて伝えられるようになり、人間関係が良くなった、という方……。


他にもたくさんおられますが、ここでは書ききれませんので別の機会にします。


自分でもびっくりするような声が出て、自らを覆っていた殻を破るような感覚を得たとき。それは、とっても気持ちがいいものです♪


あなたも是非、詩吟で大きな声を出してみませんか?


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